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 真夏に咲く花といえば、早朝のやわらかな光に映える深紅の花をつけた百日紅を想い起します。年輪を経て、大小の瘤が幹を歪め、樹皮は所々で剥がれ落ちていても、大きな存在感を持って立っている姿は、見る者の気持ちを引き立ててくれます。

 ほぼ満開であった百日紅が剪定され、花が無くなっているのを見たことがありますが、その時はなんと心ないことをするものだと嘆いたものでした。ところがしばらくすると、小さな花芽が無数に出てきて、前より増して花をたわわにつけた百日紅を目にして、大きく伸びるためには、現状に甘んじていてはいけないという感慨に襲われたことがあります。

 ヒトの身体は60%以上が水からできていますが、加齢によっても、またいろいろな病態でも水に溶けにくい物質が溜まってきます。例えば、胆石や尿管結石症などがそうですが、あまり知られていないのが慢性膵炎で生じる膵石です。これは膵管にカルシウムを含む成分が析出して石状になったもので、とても強い腹痛を起こします。

 この膵石の治療は現在でも難渋することがありますが、いくつかの治療法が行われています。まず体外から特殊な装置を用いて衝撃波を照射することにより、膵石を破砕する方法です。これにより膵液の分泌がスムーズになることで症状を軽快することができます。しかし、この方法では膵石を破砕できないことがあります。

 そこで十二指腸から膵管内に直径3mm程度の細い内視鏡を挿入し、この内視鏡からさらに細い管(プローブ)を出して膵石に接触させ、衝撃波で破砕する方法が一部の症例で行われています。このように内視鏡の進歩により、それまで思いもつかなかったような治療法が開発されてきています。

 この時期、なぜか百日紅の蒼然とした幹を見ると、加齢や病でいかに身体に変化が起こっているとしても、なお凛とした存在であり続けることができると感じてしまいます。

2016.8.9 院長 河田純男

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