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救命科研修

まずは「救急医」を名乗りませんか? - 「救急医」でなくても「救急」対応の場面は、必ず訪れます!

貴方が将来希望する診療科は、何科ですか?今、それは明確ですか? 医師を目指そうと思った時、入学試験の面接で問われた時のことを思い出してみてください。

「救命救急センター」ってどういうイメージですか?

四六時中多忙で、重症な人が運び込まれ、スタッフがピリピリしながら仕事をしている?
若い医師たちが日夜寝不足で疲労困憊しながら、きりきり舞いしている。そんなイメージですか?
あるいは、上級医の厳しい突っ込みや怒号が常に飛び交う、そんなある種「体育会系」のイメージでしょうか?それはかつての情景だったかもしれませんが、今の救命救急センターはかなり様変わりしています。

医療サービスの原点を支えるのが救急医療です。日本に救急部門が導入された昭和40年代は交通戦争に伴う重症外傷が社会問題でした。当時重症外傷に対応できる部署が国内にはなく、それに対応するために創設されたのが我が国における救命センター設立の歴史的背景です。時代は流れ、安全面が改善され、交通事故による重症外傷の絶対数は減少しました。かたや人口の高齢化は予想以上に急速に進み、今や救命救急センターへ運ばれて来る患者さんの高齢化が進んでいます。名前が世間的に有名な「救命救急センター」であっても、その実情は同じです。県立西宮病院救命救急センターは、平成23年4月より「救命救急センター」に指定されましたが、長い間、「救急医療センター」として地域に根ざしてきた部門であり、今もその流れを大切に維持しています。

医療に求められるものは、時代とともに変化していきます。21世紀の今、皆さんが目指す医療とはどんなものでしょうか。35年ぶりに改正され2004年から導入された卒後臨床研修制度は、皆さんの目指す方向性と同じでしょうか。そして何よりこの国の医療を支える皆さんを育てるシステムとして十分でしょうか。医師が、国家資格を持って診療行為を行っていくうえでは、責任と自立が要求されます。それはどの診療科を選択しても同じです。1ないし2年のローテーション臨床研修期間を経て診療科を選択する時点では、その安全は必ずしも担保されておらず、各々の自信も十分ではないのが現状です。現時点での新臨床研修制度は、単独診療に制限があり、院外診療も禁止であるため、時間外や夜間に一人で悩んだり、診断を下す経験の場が失われていることも理由の一つとも言えましょう。

当院では、研修期間の間から、救急診療にかかわる機会を多くできるような工夫を重ねてきています。適切な自立ができるためには、数を経験することも必要条件であるからです。また、研修期間終了後も、救急の専攻が継続できるように広く門戸を開放しています。将来どの診療科で選択するにせよ、研修期間が終わった時点で、今一度、救急医療に身を置き、責任と自立を高める経験を積むことは、大きな自信になり、安心して自分の望む診療科へ進む礎となると思います。それは決して無駄な時間ではなく、長い医療人としての大切な素養になります。目の前にいる患者さんが、本当に急を要する状態にあるのか、待機できるのかといった救急対応の見極めや対応のための基本的姿勢を身につけると同時に、我が国の「医療」というものの実態と現実をより深く知ることができると思います。
医療対応では、かつてのパターナリスティックな関係から、インフォームド・コンセントを前提とする対応が導入されて久しいですが、最近はSDM(shared decision making:意思決定の共有)を治療の前提とする考え方にシフトしています。いずれの診療科でも要求されるこの考えかたは、救急医療の現場で経験し訓練することで、臨床の中に広く活かされていくと思います。

このような視点から、当院では初期臨床研修を行うにあたり、「救急」に軸を置いた研修を行っています。また、救急医療を将来専門にやっていきたい、という人はもちろん、規定の研修期間では物足らなかった人、まだまだ不安だと思う人は、そのまま「救急科専攻医」としてしばらく在籍するという選択肢もあります。必要なのは、救急医療に対する貴方の素朴な興味と人間に対する純粋な愛情です。いえ、貴方自身の医師としての「自信のなさ」、「方向性の模索」があれば十分です。重症患者に限定しない、「ふつう」の救急医療を堪能して自立の道を是非模索してください。

貴方はどの診療科に進んでも、その臨床の現場で、「救急」対応を必要とされることに必ずや遭遇するのですから。

救急外来

2016年現在、救急受診総数は、年間3,363名、うち入院は1,602名です。夜間、時間外救急における救急外来対応スタッフは、救急専従医(ないし専攻医)1~2名と研修医2名の計3~4名で行います。院内には別に内科当直医、外科当直医、脳卒中当直医、産婦人科当直医が各1名、夜間、時間外も常駐しており、必要に応じその当直医の応援を依頼し、協力しながら診療を行います。よく、この項で外来総「数」の多さを、アピールする文面を見かけますが、数が多ければ良いというものではありません。安全に効率よく救急患者さんを診察、治療するためには、現在の数は過多ではなく、それは次に述べる「集中治療」を安全に行うことにもつながります。初療室は2部屋あり、重症用の診察室で2名、軽、中等症用の診察室で2名、最大同時4名の診察を行うことが可能です。なお、2016年現在、救急専従医は9名(救急指導医4名、専門医6名)、専攻医2名で診療にあたっています。平日休日、時間内外を問わず、2次および3次救急全ての救急車搬送患者の窓口となり、うち週2日の夜間、祝日24時間の地域2次輪番に入ることで地域の救急医療を担っています。病院のある西宮市はもとより、近接する芦屋市、尼崎市、宝塚市、伊丹市、川西市、猪名川町など阪神圏域を主な医療圏域としています。

集中治療

当救命救急センターは、25床のベッドがあり、初療室につながる集中治療室に重症用10床、一般病棟に15床を持っています。最重症の患者は、初療室での初期対応のあと、集中治療室に搬入されて治療継続となります。ここでは、重症外傷、敗血症をはじめとする各種ショック、脳卒中、心筋梗塞、各種中毒、熱傷などの重症患者が収容されます。人工呼吸器などはもとより、モニタリング用デバイスを各種装着した上で、濃厚集中治療が継続されます。
毎朝のカンファレンスは、集中治療室内で、画像モニター、電子熱型表および電子カルテを医師、看護師、救急認定薬剤師など他職種で閲覧しながら行い、患者情報をスタッフで共有しながらの申し送り、日毎の治療計画などの検討決定がなされます。

外傷

重症交通外傷は減少の傾向にあるものの、重症外傷は確実に発生します。人口180万人を擁する阪神医療圏域においては、当院救命救急センターも含め3ヶ所しか救命救急センターがないため、重症外傷が搬送されてくる頻度が高く、重症頭部外傷に対する手術および術後管理、胸腹部ないし骨盤外傷に対する処置や手術、血管内治療、また四肢開放性骨折、脊髄損傷に対する処置などは、当救命救急センターが中心となり、必要に応じて当該診療科へのサポートを依頼しながら治療を行うかたちをとっています。当院は、1995年の阪神淡路大震災の時の被災病院の中にありながら、当時医療機関として活動継続しつつ、震災当日ヘリコプターによる広域患者搬送第一号を行った経験があります。また、2005年に近隣で発生したJR福知山線脱線事故の際も後方支援施設として多くの重症患者を受け入れ、緊急手術を行いました。

血液浄化治療ならびに人工心肺

当院には透析センターがあることより、腎臓内科専従医がおり、院内発生の血液浄化治療適応の場合の相談、共観が非常に行いやすい環境にあります。集中治療室入院中の適応患者に対してはもとより、一般病棟でも必要な場合には容易に透析導入できる環境にあり、エンドトキシン吸着療法は当科主導で日常的に行われ、持続緩徐式血液濾過透析もストレスなく行っています。また、臨床工学技士による指導、教育が定期的に行われおり、スタッフへの知識、対応の標準化を図っています。また人工心肺(PCPS)を導入し、低体温療法を併用することで、蘇生後の病態にも積極的な治療を展開しています。

脳卒中

社会の高齢化とともに、脳卒中の搬送数は少なくありません。初療は原則的に、救急科で行い、手術適応のある、くも膜下出血、脳出血、慢性硬膜下血腫、tPA適応のある脳梗塞患者などは、速やかに脳外科(ないしは脳卒中当直)に依頼し、当該科での治療にひきつぐ形で、高質の医療を提供します。阪神地域においては、救急隊搬送時における、脳卒中用の搬送記録を別途導入することにより、早期からの対応ができるようなシステムを構築し、病院前からの精度を上げる試みも行っています。

急性冠疾患・大血管疾患

脳卒中とともに、これもまた頻度の高い疾患群です。難治性心房細動をはじめ、高度のブロック、急性心筋梗塞、たこつぼ心筋症、急性大動脈解離など、致死性の高い疾患群が、救急搬送の中でよく遭遇します。外来初療と当科主導の集中治療室だけで対応できるものをはじめ、緊急の心臓カテーテル検査ならびに治療や、ペースメーカー埋め込みなどに際しては、院内循環器内科主導で密接に連絡をとりながら対応しています。

common diseaseへの対応 ー救急総合診療科ー

重症救急の話が先行しましたが、救急医療の大半は、いわゆるcommon diseaseあるいは、外来小外科です。夜間や時間外の患者さんを一定数以上経験することによってのみ、その実際や対応の勘所が見えてきます。当センターでは、特に2次輪番日の夜間に、それに該当する人が搬送される頻度が高くなっています。原則的に研修医の1年目、2年目のいわゆる屋根瓦方式で行い、それを救急専従医が指導する、という形式をとっています。
きちんと患者さんと向き合っているか、外来レベルで帰宅させてよいのか、入院適応なのか、本人や家族の人の発言内容の信憑性はどうなのか、見過ごしあるいは見逃している可能性はないのか、誤解のない説明を外来できちんとしているか、こういったprimaryな対応、臨床的勘所を、是非数ある、common diseaseや、外来小外科の中で経験し、習熟して欲しいと思います。またその中に盲点や、実は多くの人が見逃しているかもしれない臨床的課題があるかもしれません。また、複数同時に外来が進行する場合で、集中治療室での緊急対応を求められることがあります。この場合の優先順位はどうするべきなのか、救急隊への対応や、スタッフ間での協力をどうしたらよいのか、瑣末な問題なようですが、実は各人が、「医療人」として安全に健全に成長していくために大切な修練の場となります。

NST:救命救急センター栄養サポートチーム

当センターでは、NSTなどチーム医療にも積極的に取り組んでいます。ICUの患者に対し早期経腸栄養に加え乳酸菌などの生菌製剤を積極的に投与(シンバイオティクス)する取り組みを行っています。導入前の3ヶ月におけるICU入院患者数203例に対するMRSA感染率(抗MRSA薬使用院内発生患者/細菌検査依頼患者数)は10.9%であったのに対し、導入後の3ヶ月277例に対するMRSA感染率は実に0%と激減し、またMRSAだけでなく耐性菌感染併発を予防することができ、重症患者の診療に欠かせないICUの病床確保に寄与する可能性が示唆され、今後も一層推進していきたいと思っています。

ドクターカー システム

当院は、西宮市消防局との協力のもと古くからドクターカーシステムを導入しています。それに加え阪神間という交通アクセスが良い立地条件にあるため、2013年11月から当院常置型ドクターカー(ラピッドレスポンスカー)が稼働し、これで西宮市はもとより阪神圏域全域に病院前医療を展開することが可能となりました。

off the job training

当科スタッフ主体のICLS、ACLSなどを定期的に開催する他、各人のJATEC、JPTECなどへの参加を勧めています。また、災害時対応としてのMIMMSや、DMATの育成、講習への継続参加を行うことにより、外傷や災害時の病院前で対応、処置などの標準化を共通理解するよう、積極的にすすめています。

また、救急医療を行う上で切ってもきれない関係にある精神科や精神的問題を抱えた人との対応は、他科診療を行う上でも必須と言えます。これについては、臨床救急医学会監修のPEECコース、米国内科学会から導入されたPIPCコースなどへの参加を積極的にすすめています。

まとめ

「羊頭狗肉」という言葉があります。病院紹介のホームページで見かける文面にはその傾向が高いようですが、作られたブランドや実績は無意味ではないですが、全てではありません。それは、研修を実際にされた皆さんが一番わかっていることだと思います。身の丈にあったことを納得いくまで続ける。それが王道だと思います。最初に書いたように、救急のみならず、目指すべき方向性は、時代や世代とともに変遷します。閉塞せずに、内にも外にも向かって自由な、救急医療のモデルを作っていくためには、若い世代の思考や力が必須です。
若き皆さんには、是非、責任をもった自立をするための足台として当救命センターを経験して欲しいと思います。今後の若き医療人の礎を築く場を当センターはこれからも提供してゆきたい、と考えています。

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