2024年11月より、兵庫県立西宮病院に「人工関節センター」を開設しました。ぜひ、股関節や膝関節の痛みでお困りの患者さんは兵庫県立西宮病院の人工関節センター(整形外科)を受診してください!
「人工関節センター」では整形外科がリーダーとなり、麻酔科、リウマチ科、栄養管理部、リハビリテーション部と密に連携して診療にあたります。質の高い人工関節手術(股関節、膝関節)を行うとともに、手術だけでなく患者さんをトータルサポートします。
患者さんへ
兵庫県立西宮病院「人工関節センター」では、人工関節による治療をトータルサポートします!
変形性関節症とは関節の軟骨が摩耗し、関節の痛みや動きにくさが出る病気です。高齢者の増加に伴い、今後も患者数が増加してくるものと考えられています。もっとも頻度の高い膝の変形性関節症の潜在患者数は3,000万人、股関節では500万人程度と推定されています。変形の進行を予防するような研究もおこなわれていますが、現在のところ確立した根本治療はまだなく、変形の進んだものに対しては人工関節置換術が行われています。人工関節置換術は摩耗した軟骨とそれに繋がる骨を除去し、金属などで出来た人工関節に交換することで痛みを和らげて日常生活動作を楽にします。関節リウマチによって関節が悪くなった場合にも人工関節置換術が行われます。
人工関節置換術は、股関節、膝関節ともに20-30年前に比べると長足の進歩を遂げています。医学の進歩、手術技術の進歩、人工関節インプラントの進歩により、安定した、良好な治療成績が得られるようになっています。手術の手技、技術だけなら、もちろんそれぞれの病院での長所はあっても、人工関節置換術を専門的にできる病院であれば日本全国、さらに世界でも大差は無いかも知れません。とすると、人工関節による治療をさらに発展させ、さらに患者さんに喜んでいただくためには、手術だけに注力するのではなく、手術以外のケアにもこれまで以上に積極的に取り組んでいくことが重要と私達は考えています。これが各病院の差別化に繋がっていくかも知れません。兵庫県立西宮病院「人工関節センター」では手術にも、手術以外のケアにも工夫を凝らし、最善を尽くし、患者さんをトータルサポートします。具体策について御説明します。
ナビゲーションシステムを駆使した手術
人工関節置換術を行う際に、その人それぞれの骨の形、大きさ、骨質によって使用する人工関節のサイズだけでなく、設置する位置を1mm、1度単位で正確に計画することで、術後の脱臼などの合併症のリスクを減らすように工夫しています。そしてその精密な計画を術中に正確に再現するため、当院では股関節、膝関節ともにナビゲーションシステムを使用しています。
人工股関節置換術
人工股関節置換術の手術では術前に撮影したCT画像のデータを取り込み、1mm、1度単位で術前計画を作成します。
術中、作成した術前計画通りに手術を行うため、ナビゲーションシステムを利用しています。(画像提供:日本ストライカー株式会社)
人工膝関節置換術
人工膝関節置換術では術中に骨の特徴的なポイントを登録することで、リアルタイムに骨を切る角度や切る量を0.5度、1mm単位で確認しながら手術を行います。
膝の単顆置換術
慎重に適応を見極め、実施可能な患者さんに対しては膝関節を全て置換するのではなく、傷んでいる部分だけを置換する手術も行います。全て置換する手術に比べて、体にかかる負担が少なくなります。
麻酔科とタイアップした術後鎮痛
いくら手術が成功していても、術後の痛みが強ければ辛いですよね。当院では、麻酔科医師と密に連携し、術後痛くないように鎮痛処置にも力を入れています。神経ブロック、注射などで苦痛を取り除きます。「痛くない手術」をモットーにしています!
専門的なリハビリテーション治療
しっかり歩けるようになるためにはリハビリテーション治療も非常に大事です。当院では術後早期から、理学療法士が専門的なリハビリテーション治療を行います。しっかりと歩いて自宅へ帰ることを目標に、十分なリハビリを行います。
栄養管理も行います
人工関節手術の対象になるのは、ほとんどが高齢者であり、関節置換の手術を行うだけでなく、筋肉を鍛える・増やす、骨を強くするといったところも大事です。また、高齢者は内科的な基礎疾患を持っている方が多いです。これらに栄養の観点からアプローチします。管理栄養士とともに、体力がつくように栄養管理に取り組みます。
関節リウマチの人工関節手術にも対応します
リウマチ科医師と連携し、リウマチの内科的治療・コントロールを最適にしつつ、最良の人工関節手術を行います。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に対する診療
関節だけでなく、骨もケアします。股関節、膝関節の人工関節置換術を受ける患者さんの多くは高齢者です。高齢者では関節が悪くなるだけでなく、骨が弱くなっています。骨粗鬆症で骨が弱くなっていると、人工関節を骨がしっかり支えられなくなったり、人工関節の近くで骨折したりして困ることになります。当院では人工関節による治療だけでなく、患者さんごとに骨の状態をチェックし、必要に応じて骨粗鬆症の治療も行います。
受診方法
膝や股関節の痛みでお困りの方はぜひ、兵庫県立西宮病院「人工関節センター」を受診してください!「人工関節センター」の診療は、月曜日・水曜日・木曜日の午前中に、予約制で診療を行っています。お急ぎの場合は、金曜日の午前中でも予約を承ります。かかりつけの主治医の先生にご相談の上、紹介状を書いてもらって下さい。かかりつけ医療機関から当院患者支援センター地域連携部門へFAX(0798-34-4436)にてご予約頂けますようよろしくお願い致します。
関連リンク
新倉隆宏医師の記事「人工関節による治療の進化:手術も、手術以外のケアも…」が掲載されています。
スタッフ紹介
難治性骨折
人工関節
骨関節感染症
下肢変形矯正・脚延長
骨粗鬆症
日本骨粗鬆症学会認定医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
臨床研修指導医養成講習会修了
がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
共用試験医学系臨床実習前OSCE評価者認定講習会修了
共用試験医学系臨床実習後OSCE評価者認定講習会修了
神戸大学医学部臨床教授
関節外科
日整会研修指導者講習会修了
臨床研修指導医養成講習会修了
神戸大学医学部臨床講師
関節外科
日本整形外科学会認定スポーツ医