診療科・部門

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科の特色

当科では耳鼻咽喉・頭頸部領域(耳、鼻、口腔、咽喉頭、唾液腺、甲状腺、頸部)の領域の手術や入院加療を主に行っています。

中でも鼻副鼻腔疾患と甲状腺疾患に重点的に力を入れて取り組んでいます。診断から治療まで一貫した診療を行います。
部長の端山は大阪大学医学部附属病院で7年間、鼻副鼻腔疾患の臨床・手術のグループリーダーとして、難易度の高い手術を執刀してきました。また、日本鼻科学会認定の手術指導医(2023年4月現在、兵庫県では3名のみ)の資格を有しており、鼻副鼻腔手術の幅広い範囲に対応をしております。外来では初診当日に副鼻腔のCTも撮影を行い、早期に診断を行い治療に移ることを重視しております。

手術においては、手術用内視鏡、手術用顕微鏡、手術用ナビゲーション装置、神経モニターなどの最新機器を利用し、低侵襲手術、安全確保につとめています。また当院は日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医教育研修施設となっており、病態に基づいた診断と治療を行うように心がけております。

扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎、頸部膿瘍、難治性中耳炎などの急性感染症、突発性難聴、顔面神経麻痺、内耳性めまいなどの緊急性の高い疾患の入院治療も積極的に行っています。

主な対象疾患

特に以下のような疾患を専門としております。

慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎はありふれた一般的な疾患であり、実際、海外の調査では全人口の8~16%が慢性副鼻腔炎であると報告されています。慢性副鼻腔炎は生命に関わることは稀ですが、実は生活の質などに悪影響を与えるため、早めの診断と治療を求められる疾患です。慢性副鼻腔炎の症状で主なものは鼻汁、後鼻漏、鼻閉、顔面や頭の痛みや重い感じ、嗅覚障害です。
第一段階の治療として薬物療法が標準的ですが、残念ながら薬物療法で改善しない場合には手術治療が必要となります。多くの病院で一般の耳鼻科医が行っている手術ではありますが、当院では鼻の手術を専門とする医師の監督のもとに行っております。

好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎は慢性副鼻腔炎に含まれますが、特に難治性であり、国の定める指定難病(指定難病306)です(当院は難病指定医療機関です)。投薬で改善しない場合は手術治療が必要になります。当科での手術の特徴として、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を専門としている医師が手術を監督します。再手術症例などの手術手技が困難な症例においても適応があれば積極的に手術加療を行っています。手術後に再発した場合にも生物学的製剤での治療にも対応しています。

鼻中隔弯曲症

当科では鼻中隔軟骨を温存する手技を行っています。これにより鼻中隔穿孔の危険性を下げることが出来ます。また従来、前方弯曲が強い場合には矯正が難しいとされてきましたが、当科では切開方法の工夫(Hemitransfixion切開)やバテングラフトを用いた方法などで対応しています。さらに形成外科と合同で外鼻形成術(Open septorhinoplasty手術)にも積極的に取り組んでおります。

甲状腺腫瘍

甲状腺に腫瘤(しこり)ができることがあります。その中には癌や良性腫瘍、のう胞、過形成といった疾患が含まれます。のう胞というのは、甲状腺の中に袋ができて内部に水分がたまっている疾患です。過形成というのは、ほぼ正常な細胞が増殖して腫瘤を作っているだけです。のう胞や過形成の多くは、サイズが大きくならない限り、治療を必要とはしません。一方で容的な問題が生じる場合には手術をすすめられることがあります。
一方で悪性腫瘍は、甲状腺乳頭癌や髄様癌、悪性リンパ腫など治療が必要となる病気であり、手術が必要となることが多いです。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は鼻汁・鼻閉・くしゃみなどの症状を起こす非常にありふれた疾患です。一般的な薬物療法では十分効果が得られない場合には、手術治療や舌下免疫療法などを組み合わせて治療を行います。 舌下免疫療法は根治的になり得る治療ですが、治療効果が得られるのに時間(3年程度)がかかるのがデメリットです。一方で手術治療は即効性が高いことが最大のメリットですので、早期の治療効果を希望される患者さんには手術を勧めています。

鼻副鼻腔腫瘍

鼻副鼻腔の良性腫瘍の中で最も多いのが内反性乳頭腫です。内反性乳頭腫は再発率が高く、一部は癌を合併します。そのためMRIや病理検査などにより術前の診断をしっかりすることを心がけています。病院によっては外切開(顔面や歯肉を切開する)での手術が行われていますが、当科ではほとんど全ての症例で内視鏡手術で治療を行っています。特に上顎洞や前頭洞に腫瘍が存在する場合には従来の手術手技では対応が困難でしたが当科ではEMMM、Draf type3といった発展的な手術方法を行っています。これにより侵襲の少ない治療で良好な治療成績を残しています。その他の良性腫瘍に対しても内視鏡手術での治療を第一選択としています。

蝶形洞炎(または蝶形骨洞炎)

孤立性蝶形骨洞病変とも呼ばれ、蝶形骨洞に単独に副鼻腔病変を有する状態です。人間ドックや脳の画像検査などで偶然発見されることも多い疾患ですが、頭痛の原因にもなり得る疾患です。検査結果などにより、手術が必要と判断された場合は当科では主に経鼻中隔法と呼ばれる方法で内視鏡手術を行います。この方法は蝶形骨導侵襲が少ないのに、大きな視野が得られるためこの疾患の手術に適しています。

難治性鼻出血

外来で内視鏡を駆使して出血点を探し、焼灼処置を行います。また出血点が分からない後方からの出血を繰り返す場合には手術加療(蝶口蓋動脈のクリッピング)を行っています。

オスラー病

オスラー病は遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)とも呼ばれる疾患です。様々な症状が出現しますが、最も多いのが鼻出血です。オスラー病は全身の臓器に血管病変を発症しますので、他科とも連携し、全身の合併症にも迅速に対応します。

スタッフ紹介

端山 昌樹
はやま まさき
役職
耳鼻咽喉科部長
卒業
平成14年卒
専門分野
鼻科手術
耳鼻咽喉科一般
資格
鶴田 幸之
つるた ゆきのり
役職
耳鼻咽喉科医長
卒業
平成25年卒
専門分野
鼻科手術
頸部手術
耳鼻咽喉科一般
資格
野之口 由華
ののぐち ゆか
役職
耳鼻咽喉科医長
卒業
平成27年卒
専門分野
耳鼻咽喉科一般
資格
多月 周哉
たつき しゅうや
役職
耳鼻咽喉科医師 (職員)
卒業
平成31年卒
専門分野
耳鼻咽喉科一般
資格

外来担当医表

 
午前 1診 野々口由華 端山昌樹 端山昌樹 坂田義治 鶴田幸之
2診 谷田将志 鶴田幸之 多月周哉 林 計企

多月周哉(第1,3,5)

野之口由華(第2,4週)

午後 2診 伊賀朋子