妊婦健診
当科でも、多くの妊婦さんが順調に妊娠経過を過ごされ出産なさっています。
妊婦さんは、当院に通院なさっている方の中で唯一健康な方です。楽しい妊娠期間を過ごして、出産にのぞんでください。私たちは、皆さんがより安心して妊娠・出産を迎えられるようお手伝いをします。
当科では、他院で出産予定の妊婦さんが帰省するまでの妊婦健診や、他院より帰省なさった妊婦さんの出産もお受けしています。
また、妊婦健診をお住まい近くのクリニックで受けてから当科で分娩をご希望なさる妊婦さんの出産もお受けしています。
正常分娩
妊娠中の経過が順調な方にはなるべく医療行為を行わず、できる限り自然分娩を目指しています。当科でも多くの方が自然分娩で元気な赤ちゃんを産んでおられます。
しかし、順調だと思っていたお産でも急変することがあります。その場合は、赤ちゃんやお母さんを助けるために、陣痛誘発・促進や緊急帝王切開、あるいは産後の止血処置を速やかに行います。緊急時でも、できる限り説明を行ったうえで処置を行いますので、ご安心ください。
“できるだけ自然分娩をしたいけれど、万が一のことを考えると不安”という方は、是非当科での分娩をおすすめします。
“県西でお産をしたいけれど、妊婦健診に通うのが遠い”という方は、お住まい近くの医療機関で妊婦健診を受け、お産が近づいた時期に転院していただくこともできます。
当科では妊婦さん側の希望による無痛分娩(硬膜外麻酔)や帝王切開は行っていません。
2020年
分娩数(内、ハイリスク分娩) | 447例(121例) |
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母体搬送受け入れ | 86例 |
帝王切開 | 176例 |
双胎 | 24例 |
NCPRとは
日本周産期・新生児医学会では、すべての分娩に新生児蘇生法を習得した医療スタッフが新生児の担当者として立ち会うことができる体制の確立を目指し、2007年7月から新生児蘇生法(NCPR)普及事業をスタートしました。新生児蘇生法の理論と技術に習熟することにより、新生児の救命と重篤な障害の回避が期待されます。講習会受講後、試験に合格し所定の手続きを経て「新生児蘇生法終了認定」の資格を得ることができます。
新生児蘇生法(NCPR)取得者
産科医師(9名在籍) | インストラクター | 2名 |
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Aコース修了 | 7名 | |
助産師 | Aコース修了 | 41名 |
ハイリスク妊娠・分娩
早産
赤ちゃんが妊娠37週0日(分娩予定日の3週間前)より早く産まれてしまうことを早産と言います。早産で産まれた赤ちゃんは体が小さく、また呼吸をはじめとする体の機能が未熟であることが多いため、小児科医師による適切な管理が必要です。
当院は地域周産期母子医療センターとして6床のNICU(新生児集中治療室)を有し、新生児医療の専門医や熟練したスタッフと協力しながら診療を行っています※。
少しこわい話ですが、上のお子さんが早産だったという経産婦さんは、次のお子さんも早産になる可能性が少し高くなります。一度当科へご相談ください。
妊娠8か月(28週)未満の早産のリスクのある方は他院へ搬送となることがあります。
骨盤位(さかご)
赤ちゃんはお母さんのおなかの中でさまざまな方向を向いていますが、多くはお産が近づくにつれて頭が子宮口に向かって先進します(頭位)。しかし、3-4%の赤ちゃんはお尻や足が先進し(骨盤位)、経腟分娩が難しくなります。
当科では、単胎の骨盤位の分娩は原則として帝王切開術を行っています。
特にリスクのない方には外回転術(お母さんのおなかの上から赤ちゃんを回転させる)をトライすることもあります。
双胎妊娠(ふたご)
近年、双胎妊娠は増えています。
双胎妊娠は、早産や妊娠高血圧症候群、また分娩後の大量出血のリスクが高くなります。
しかし、ふたごは産まれた喜びも2倍であり、決してこわいことばかりではありません。
当科ではNICUや周産期救急センターと協力しながら分娩を全力でサポートします。
また、当科では一定の条件※を満たした双胎妊娠の方の経腟分娩もお受けしています。
- 先進児(子宮口に近いほうの児)が頭位であること
- 2児の体重が概ね1500g以上あり、かつ、2児の体重に大きな差がないこと
前置胎盤
胎盤が子宮口(出口の部分)を覆ってしまう状態を前置胎盤と言います。前置胎盤は帝王切開による分娩を必要とします。前置胎盤の帝王切開は通常の帝王切開より出血のリスクが高く、また、前置胎盤の方は分娩の数週間前から出血がみられる(警告出血)ことがあり、その場合は入院管理が必要になります。
当科では止血処置や輸血の準備を十分にして管理にあたっています。 妊婦さんに貧血がないなど、条件が合えば、手術前に貯血(自分の血液を手術時の輸血用に採取しておく)ことも可能です。ご相談ください。
高齢妊娠
分娩時の年齢が35歳以上の方の妊娠を高齢妊娠と呼びます。
高齢妊娠は、妊娠高血圧症候群をはじめとして妊娠・分娩中のリスクが高くなります。
もちろん、順調な経過の方はできる限り自然分娩を目指しますが、陣痛誘発・促進や帝王切開術といった医療行為を必要とすることも少なくありません。
特に初産の方は、さまざまなバースプランをお持ちかもしれませんが、“万が一のことを考えると不安”という方は、是非当科での分娩をおすすめします。
当科での高齢妊娠:分娩全体の42.5%(2015年)
合併症妊娠
持病のある方にもできるだけ安心して妊娠・出産をしていただけるよう、必要に応じてそれぞれの病気の専門医師(内科や外科など)と協力しながら妊婦健診・分娩管理を行います。
中には、赤ちゃんへの影響を心配して自己判断で内服中のくすりを中断する方がいらっしゃいますが、かえって良くない状態になることもあるので、決してそのようなことをしないでください。
しかしながら、持病の種類や程度によっては、残念ながら妊娠をおすすめできないことがあります。まずは、かかりつけの先生にご相談いただくか、一度当科へご相談ください。その際は、かかりつけの先生からのご紹介状とおくすり手帳をお持ちください。
- 以下の疾患をお持ちの方は、妊娠なさる前に、一度当科へご相談ください。
- 糖尿病
- てんかん