お知らせ

眼科3次元眼底撮影装置について

7月に眼科3次元眼底撮影装置(OCT:光干渉断層計)が導入されました。この装置は近赤外光を眼底に当て、反射光を分析することで眼底の断層像を描出することができる器械で、眼底写真が網膜表面を平面的に捉えるのに対しOCTでは断面をみることができます。今回当院に導入されたのはスペクトラリスOCTという最新モデルで、解像度は最少3.5μmと非常に詳細な網膜断層像の描出が可能です。特に黄斑疾患(加齢黄斑変性、黄斑円孔、黄斑上膜、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞による黄斑浮腫など)の疾患の的確な診断、病状の把握が可能となり、治療方針を決める上で大きな力となります。また画像を見れば直感的に理解できますので、患者さんへもよりわかりやすく病状を説明することが可能になりました。
OCTの導入により当科では今回加齢黄斑変性の抗VEGF抗体(ルセンティス、マクジェン)硝子体注射による治療を開始しました。OCTは緑内障診断にも威力を発揮します。緑内障では徐々に視神経がダメージを受け、神経のボリュームが徐々に減少してきます。OCTで視神経周囲の網膜(網膜神経線維層)の厚みを測定することで、視神経のボリュームの程度を知ることができます。これは視野欠損が起こるのに先立って減少しますので、より早期に、今後緑内障になるかもしれないので注意が必要、という段階での発見が可能です。
このように非常に多くの情報が得られる検査器械ですが、実際の検査では弱い光を眼底に当てるだけですので痛くなく、あまりまぶしくもなく、短時間で終了するとても楽な検査です。最近ものが歪んで見える、中心が暗く見えるなどの症状がある方は、ぜひ一度眼科を受診してみてください。