先進医療としての大腸ESD
2011年08月15日
従来の内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)は病変をスネア(ループ状の金属ワイヤー)でくくったのち、高周波電流による通電切除を行うため、実施困難な病変が存在します。具体的には、
- スネアの大きさを上回るような2cm以上の病変、
- 1cm以上のEMR後遺残・再発病変、
- EMR時の粘膜下局注(専用の液体を注入する手技)による病変の挙上が不良な病変です。
大きな病変の場合、分割して切除することも技術的には可能ですが、病理診断の正確性や遺残・再発の問題があるため、EMRにて根治が期待できる病変と術前に診断しても、外科手術を選択せざるを得ない場合が多く認められるのが現状です。
これに対し、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)*はEMRで対応できない比較的大きな病変をも切除できます。ESDの技術は、食道・胃・十二指腸で技術的に標準化され、既に保険収載がなされています。しかし、大腸ESDを施行するためには、大腸壁が薄いことなど解剖学的な理由により手技的に繊細な操作や高度な技術を要求されること、胃等のESDと比べ腸管穿孔の危険性が高いことから、いまだ保険収載されていません。その中平成21年6月厚生労働省により大腸腫瘍に対するESDが先進医療として承認されました。 この度、当院で実践している大腸ESDの治療成績が評価され、平成23年2月1日から厚生労働省より大腸ESDを先進医療として行うことが認可されました。